区分教員向け・非公式まとめ 情報基準日2026.08.31(企画特別部会「審議まとめ(素案)」を反映) 出典中央教育審議会 教育課程部会 公表資料

次期学習指導要領 取りまとめ動向 ── 教員向け要点整理

次の学習指導要領は、
こう変わりそうです。

まずこれだけ

  • 全教科「取りまとめ」段階。確定は2026年度冬の答申以降
  • 評価はABC評価→2観点+個人内評価に、授業時数も学校裁量が拡大
  • 中学に新教科「情報・技術科」誕生。AIは全教科共通のテーマに

中央教育審議会の各教科ワーキンググループ(WG)が2026年夏、相次いで「取りまとめ案」を公表しました。文部科学省の公表資料13本を全部読んで、現場の先生向けに要点だけをまとめたページです。

専門用語はできるだけ噛み砕いています。3分で全体像、10分で担当教科まで読める構成です。

いま出ている情報の段階この先の予定
全教科とも「取りまとめ」(多くは会議後修正まで完了)。まだ確定ではありません 2026年夏頃に部会の「審議まとめ」 → 意見公募 → 冬頃に答申年度末に改訂告示

1.いま、審議はどこまで進んでいる?

次の学習指導要領は、およそ10年ぶりの全面改訂です。審議の流れと現在地はこうなっています(実施時期は総則・評価特別部会資料および企画特別部会「学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)」2026.08.04版の想定ベース。企画特別部会の開催予定は2026.08.24時点のMEXT公式サイトで確認)。

2025.09企画特別部会が「論点整理」を公表。改訂の基本方針が固まる
2026.05-07各教科WGが「取りまとめ案」を相次いで提示、大筋了承
2026.08各WGが議論を反映した「会議後修正」版を提出。企画特別部会が「審議まとめ」に向けた検討を開始(8/4の第16回で「審議まとめの主な項目(案)」=目次案を検討)
2026.08.31企画特別部会・第17回開催。「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」(全400ページ)を公表。総論・全教科等の方向性がほぼ出そろうイマココ
2026 夏頃素案を踏まえ教育課程部会としての「審議まとめ」を確定 → パブリックコメント(意見公募)
2026年度 冬頃中央教育審議会が答申
2026年度末学習指導要領の改訂告示(2027年3月頃の見込み)
2028年度幼稚園等 全面実施。新設の「情報の領域」「情報・技術科」(仮称)が小学校から段階的に先行実施(想定)。調整授業時数制度も小・中学校で先行実施。高校は単位制柔軟化を試す「高校版サキドリ研究校」を指定情報・技術のみ
2029年度〜「情報・技術科」(仮称)が中学校でも段階的に先行実施(想定)
2030年度小学校 全面実施
2031年度中学校 全面実施
2032年度〜高等学校 入学生から順次実施(学年を分けて段階的に導入)
2034年度高等学校 全面実施(3学年すべてが新課程に)

2.学校全体で大きく変わる8つのこと

教科の話に入る前に、校種・教科を問わず全員に関わる変化から。今回の改訂は「教科の中身」より、まず「学校の仕組み」が大きく動きます。

2.1

評価が変わる ──「主体的に学習に取り組む態度」のABC評価を廃止へ

観点別評価は「知識・技能」「思考・判断・表現」の2観点に。学びに向かう力・人間性等は個人内評価とし、「学びに向かう力の3要素」(初発の思考や行動・学びの主体的な調整・対話と協働)が特に表れたときに「○」を付記する新方式になります。評価規準を各学校で作る作業も不要になる方向(国の例をそのまま使えばよい)。

現行:3観点ABC評価 → 次期:2観点ABC+「○」付記+個人内評価

※「態度を見なくてよい」わけではない、と資料にも念押しあり。「統合的な理解・総合的な発揮」自体は評価規準を設定しない方針が確定(単元構想・授業づくりの軸として使うもので、成績を付ける対象ではない)。「○」の評定への影響は独立観点としてではなく思・判・表評価と一体的に間接反映される形で検討中。

2.2

授業時数・単位が「学校裁量」になる

中学校は標準授業時数を最大15%程度まで減らして自由に使える時間に回せる「調整授業時数制度」、高校は1単位の細分化・科目の組替え・外部試験による履修免除など、単位制が大幅に柔軟化します。詳しくは3章にまとめました。

2.3

中学校に新教科「情報・技術科」(仮称)が生まれる

技術・家庭科の技術分野が独立・発展して新教科に。生成AI・プログラミング・情報セキュリティを大幅拡充し、小学校(総合の「情報の領域」)→中学→高校(情報Ⅰ・Ⅱ)とつながる情報教育の背骨になります。今回の改訂で最も構造が大きく変わる教科なので、先行実施の有無や現場の準備事項まで別ページに詳しくまとめました →

2.4

高校の科目が再編される(国語・数学・英語・理科)

国語は選択4科目→6科目体系へ、数学は数学A・B・Cを廃止して新選択科目に統合(行列は独立項目に格上げ)、英語は科目名変更(総合/発信、いずれも仮称のまま)、理科は「科学と人間生活」4単位版の新設。地歴公民・芸術・保健体育は科目の枠は維持で中身を刷新します。

2.5

小・中も「総合的な探究の時間」に名称統一

中学校の「総合的な学習の時間」が高校と同じ「総合的な探究の時間」になる見込み。探究が教育課程の背骨として明確に位置付けられ、情報活用能力はそれを支える基盤とされます。

2.6

生成AIが「前提」の教育課程になる

ほぼすべての教科の取りまとめ案がAIに言及。共通するスタンスは「活用は前提としつつ、AIに丸投げしない人間ならではの力(批判的思考・身体性・対話)を各教科で鍛える」。数学・理科の見方・考え方には「批判的に考察する」が明記されます。教科ごとの詳しい扱いの違いは5章にまとめました。

2.7

教科書が「全部教えるもの」から「使って教えるもの」へ

網羅主義をやめて重点化・精選する方針。「教科書『を』教えるから、教科書『で』教えるへ」が合言葉です。社会科では教科書用語の精選方針を別途作成(2027年秋までに方向性)。入試も網羅主義から脱するよう改善を求めています。

2.8

学習指導要領そのものがデジタル化される

資質・能力を表形式で構造化し、検索やAI活用がしやすい「デジタル学習指導要領」として提供される方向。授業づくりのときに「引ける」指導要領になります。

3.授業時数・単位数はこう変わる

今回の改訂でいちばん実務に響くのがここ。時間割・教育課程編成のルールが根本から変わります。

義務教育(中学校)

項目変更内容
調整授業時数制度各教科の標準授業時数を最大15%程度(中学校で年128コマ・週4コマ程度)まで下回って編成できる新制度。
裁量的な時間減らして生み出した時数を、最大週2コマ(年70コマ程度)まで学校裁量の時間に充当可能。学び直し・個人探究・教員の研究研修などに使える。
年間授業週数標準を35週→40週に変更。同じ総時数を長い期間に薄く配り、週あたりのコマ数を減らして「余白」を作る狙い。
総授業時数現行より増やさないことが大前提。新教科「情報・技術科」の時数は各教科の内容精選で捻出する。

高等学校

項目変更内容
単位の細分化1単位=35コマ→17コマの「新単位」に半分化。半期(学期)ごとの単位認定や細かな増減がしやすくなる。卒業要件は74単位→148新単位(分量は実質同じ読み替え)。
減単・増単「原則不可」→要件を満たせば可能に転換。減単幅は2単位科目(4新単位)は1新単位まで(25%減)、4単位科目(8新単位)は3新単位まで(37.5%減)と具体化。ただし各必履修「教科」の合計が3新単位以下になる減単は不可(公共・芸術・情報Ⅰ・家庭基礎が該当)。
科目の組替え複数科目を一体的に指導したり、科目内容の一部を他科目・学校設定科目で扱う「組替え後科目」を学校判断で編成できる。例:化学基礎と化学を一つの科目として複数年で履修。学校設定科目の卒業単位算入は普通科28単位(56新単位)が上限の目安。
外部試験による免除英語・数学の必履修科目からまず先行運用。外部試験は英語がCEFR B2相当以上、数学が数学Ⅱ・B相当の級で力が証明できれば履修免除・振替が可能に。
週30コマの標準週当たり授業時数の標準(30コマ)を示さない方向で検討。時間割の組み方が学校ごとに多様化する。
科目ごとの増減数学Ⅰは内容充実で実質増(3単位相当→8新単位程度)、数学Ⅱは精選で実質減(4単位→6新単位=3単位相当)、情報Ⅱは柔軟配当など、科目単位の増減も予定。

※数値は2026.8.31公表の「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」に記載の検討値です(8.4会議後修正版の内容がベースで、一部数値がより具体化されました)。

4.教科別の取りまとめ要点(中学・高校中心)

各WGの取りまとめ案から、中学・高校の先生に関わる変更点を抜粋。は校種別の項目です。科目名はすべて仮称を含みます。

4.1国語

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで高校国語は「論理か文学か」の二択が終わり、標準・発展あわせて選べる6科目に。
詳しく見る(5項目)
  • 選択科目を全面再編。「論理国語・文学国語・国語表現・古典探究」(現行4単位×4科目)の中から標準的な内容を抽出・組み替え、標準「現代の国語Ⅱ」「言語文化Ⅱ」(各8新単位)+発展「論説と批評」「対話と表現」「文学と創作」「古典と文化」(各4新単位)の6科目体系へ。必履修(現代の国語Ⅰ・言語文化Ⅰ)は維持。※「新単位」は1単位=17コマ換算(現行の約半分)のため、単位数の見た目は倍でも実質のコマ数は現行とほぼ同等(詳しくは3章
  • 「話や文章の機能」(事実や知識の整理と理解/考えや主張の理由付けと吟味/思いや経験の表出と想像/協働による考えの深化や合意/伝統的な言語文化の継承と創造の5分類、いずれも仮称)を軸に、話す・聞く・書く・読むをつなげて教える構造に再編
  • 生成AI・SNS時代の「人間ならではの言語能力」を重視。生成AIの出力を比較・吟味し、自ら考え判断し表現した内容を自分の言葉で説明し責任を持つことを基本方針に明記
  • 教科書は「基幹教材」と「関連教材」を分けて精選
  • 〔知識及び技能〕を「①運用しながら深める側面」「②教養として深める側面」の2側面で整理する構造が明記

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)国語部分(2026.08.31)PDF

4.2外国語(英語)

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで語彙・文法はスリムに、発信力とAI活用は前面に。科目名も変わる見込み。
詳しく見る(6項目)
  • 科目名を変更予定:「英語コミュニケーションⅠ〜Ⅲ」→「英語コミュニケーション(総合)」、「論理・表現Ⅰ〜Ⅲ」→「英語コミュニケーション(発信)」。発信力育成の趣旨を明確化。審議まとめ素案でも科目名は「仮称」表記のままで正式決定はまだ先
  • 外部試験による必履修科目の履修免除・振替制度を新設。必要な英語力はCEFR B2レベル相当以上と明記、振替先(上位科目・学校外学修)まで具体化
  • 国が「基盤語彙リスト」を作成し、語彙・文法を使用頻度ベースで精選(指導の負担軽減)。教科書発行者にこのリストの語を使うよう推奨し、新出語彙リストを電子データで提供する方針まで具体化
  • AI活用を学習指導要領に明記。「言語活動」は「コミュニケーション活動」と「コミュニケーション活動を支える活動」に再整理。AIを活用したパフォーマンステストツールの可能性も検討事項に追加
  • 中1は小学校の既習内容を繰り返して接続を丁寧に。発音と綴りの関連付けを3年間通じて重視(語順への気付きは小学校段階から)
  • 英語以外の多様な外国語の学習機会拡充策(開設状況の公表・オンライン講座検討等)や、学習指導要領本文で「練習」という語を使わない方針が新規追加

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)外国語部分(2026.08.31)PDF

4.3社会・地理歴史・公民

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで科目名はそのまま、授業と教科書の中身が変わる。用語の精選は入試にも波及しそう。
詳しく見る(6項目)
  • 科目構成(8科目)に増減の言及なし=維持される見込み。中身を「暗記」型から「問いを追究して根拠をもって説明する」型へ転換
  • 地理・歴史・公民をつなぐ分野横断単元を新設(「社会へのまなざし」「私たちと社会」「よりよい社会を目指して」、いずれも仮称)。既存内容の統合で総量は増やさない
  • 地理総合に導入単元「地理と私たち」、地理探究の新項目名は「現代世界の地誌的考察と課題の研究」(仮称)に。「公共」の探究テーマは13→10に精選が確定
  • 偽・誤情報への対応として「情報の妥当性の確認」の技能を新設。主権者教育(模擬選挙・模擬投票・模擬議会・模擬請願等)を充実。評価も口頭試問やGIGA端末のテストモード活用など具体化
  • 教科書用語を精選する方針(2027年秋=令和9年秋までに一定の方向性を出す予定)
  • 情報化・AI等の先端技術が社会に与える影響の体系的な学びは新設「情報・技術科」に重点化し、社会科側は精選する整理に。目標文言も「グローバル化する国際社会」→地域・国・世界を含む記載に見直す方向

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)社会・地理歴史・公民部分(2026.08.31)PDF

※この教科だけ単独WGの「会議後修正」版は最後まで未公開でしたが、8/31の審議まとめ(素案)に統合される形で最新内容が確認できました

4.4算数・数学

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで高校数学の科目地図が書き換わる。統計+行列でデータサイエンスの土台づくりへ。
詳しく見る(6項目)
  • 数学A・B・Cを廃止し、1つの新選択科目(名称候補:数学E・数学S・数理活用、正式名称は引き続き検討中)に統合。内容は「場合の数と確率/統計的な推測/行列/数列/幾何ベクトル/複素数と複素数平面」の6項目から進路に応じて選択履修。行列は現行の数学Cにも一部あった内容だが独立した項目に格上げ
  • 数学Ⅰに「数学ガイダンス」「社会を読み解く数学」(数理モデル・数列と漸化式・数学的表現としてのベクトル・確率と期待値の基礎)を新設して充実。必履修・数学Ⅰの単位数増加が見込まれる分、数学Ⅱ(現4単位)を中心に内容を精選し単位数を平準化する方向が明記。新科目側の4項目(場合の数と確率・統計的な推測・行列・数列)を全部履修すれば数学Ⅰの相当分を減単可能にする案も
  • 「数学ガイダンス」を新設(小学校との接続・数学の全体像・社会とのつながり)。証明・論証の学習を充実
  • 見方・考え方に「批判的に考察すること」を追加。AIの答えを検証できる数学的素養を重視
  • 小中高で目標・6分野の枠組みを統一。AI・データサイエンスの土台(線型代数・解析・確率統計)を重視。AIドリルは①教材の質②教師の指導助言③生徒の自己調整、の3条件を満たせば効果的と評価
  • 算数の公的英語表記を「Arithmetic」から「Mathematics」に改める方針が先行実施で決定(教科名称そのものの統一は引き続き検討中)

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)算数・数学部分(2026.08.31)PDF

4.5理科

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで分野の呼び方が物・化・生・地にそろい、高校の必履修の組み方が柔軟になる。
詳しく見る(6項目)
  • 内容の整理を「エネルギー・粒子・生命・地球」から「物理・化学・生物・地学」の4分野に再編(小中高共通)。理工系男女差の実態も具体化:学士で理工系を専攻する割合は男性29%に対し女性8%
  • 「科学ガイダンス」を新設(科学とは何か・理科の全体像・研究倫理)。小学校にも分野横断の学習内容「理科と日常生活」を新設
  • 「科学と人間生活」に4単位版を新設。必履修の組み方が3パターンに(基礎3科目/人間生活2単位+基礎1科目/人間生活4単位のみ)
  • 見方・考え方の対象を「自然や社会の事象・言説」に拡大。人文・社会科学との違いを明確化するため「自然科学的な視点」と規定
  • ICT活用例に「生成AIを適切かつ効果的に利用する」が明記。高校の単位細分化(倍加)・他科目代替、義務教育の調整授業時数活用など柔軟な教育課程の仕組みも対象に
  • 理系進路の男女差の是正、理工系人材の育成を明確に打ち出し

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)理科部分(2026.08.31)PDF

4.6体育・保健体育

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで「できる・できない」より「関わり方」を育てる保健体育へ。理論はスポーツ理論に。
詳しく見る(5項目)
  • 「体育理論」を「スポーツ理論」に名称変更。専門学科「体育」も「スポーツ」へ。ただし「運動やスポーツの多様な楽しみ方を目指す態度」は例外的に引き続き「学びに向かう力」側に残る
  • 公正・協力・責任などの態度を「学びに向かう力」から「知識・技能」の中の「運動との関わり方」へ位置付け直し(指導と評価をしやすく)
  • 12年間を4年区切りで再整理。小5〜中2は「多くの領域の運動を経験しスポーツの基礎に触れる時期」(技能水準を下げる趣旨ではなく、運動の楽しみ方を広げる位置付け)。高2以上で示す技能は現行の中3〜高1程度の水準を基本とし、後ろ倒しの度合いが具体化
  • 運動種目の例示の示し方を柔軟化し、内容を精選して「余白」を創出。小1〜4は「運動遊び」を明確化。水泳授業の在り方(プール集約・民間委託等)も新たに整理
  • 「社会の様々な場面でAIの活用が進む…だからこそ身体を使いこなして能動的に人生を舵取りする、人間ならではの力を育む意味がある」という位置づけでAIに言及

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)体育・保健体育部分(2026.08.31)PDF

4.7芸術(音楽・美術・工芸・書道)

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで手と体で作る過程を守りつつ、「そもそも芸術って何?」から学ぶ入口ができる。
詳しく見る(6項目)
  • 「発想・構想する」から「工夫して表す」までを切れ目のない一つのプロセスとして「思考力・判断力・表現力等」に一体化
  • 唯一の正解に導かない。一人一人の感じ方・表し方を尊重し、身体性を伴う表現を重視。デジタル学習基盤の活用に「生成AIを含むこととする」と前向きに明言した上で、「安易に表現する過程などを生成AIに委ねるのではなく」という歯止めをセットで明記
  • 音楽は小学校のみ「歌唱・器楽」を統合区分に(中高は歌唱・器楽・創作を維持)。音楽づくり・創作を小中高で系統化
  • 音楽Ⅰ・美術Ⅰ・工芸Ⅰ・書道Ⅰなど「Ⅰを付した科目」の導入段階に「芸術そのものについて学ぶ機会」を新設。まとめ段階に合同の探究的学習
  • マンガ・メディア芸術・舞台芸術など多様な芸術文化も学びの対象に(美術は漫画・アニメ・映像、音楽は舞台芸術との組合せ、書道は身体性を活かした組合せ、と教科別に具体化)
  • 学習評価の弾力化(複数の題材・単元・区分をまとめて総括評価も可)、デジタルコンテンツの普及を踏まえた知的財産(著作権)教育の充実を新設

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)芸術部分(2026.08.31)PDF

4.8家庭

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで実践活動を各領域に埋め込んだ、探究型の家庭科へ。
詳しく見る(5項目)
  • 領域をA〜Eの5領域に再編(家族・家庭と生涯発達/生活の経営と消費生活/食生活/衣生活/住生活)
  • 「家庭総合」だけ第6領域「総合生活実践」を新設。貫通テーマは「福祉」「子育て」「防災」「生活文化」「環境」の5つに具体化。家庭基礎との違いを明確化し、履修年次も柔軟化(「連続する2か年での履修」規定の見直しを検討)
  • ホームプロジェクト・学校家庭クラブ活動は「個人探究(ホームプロジェクト)」「協働探究(学校家庭クラブ活動)」(いずれも仮称)という呼称で、家庭基礎・家庭総合の両方で実施する形に確定
  • 技術分野の分離(→情報・技術科)を踏まえ家庭分野の目標を検討中。B領域「生活の経営と消費生活」に「家庭生活と生活資源のマネジメント」という項目を新設。中学校技術・家庭科(家庭分野)の免許外教科担任は令和5年度調査で全体の約29%という実態データも新規掲載
  • デジタル学習基盤の活用の中で「生成AIなどの特性を踏まえながら、適切かつ有効な情報収集や情報活用などが求められる」という前向きな記述が新たに追加(従来は歯止め寄りの記述のみだった)

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)家庭部分(2026.08.31)PDF

4.9総合的な学習・探究の時間

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで小中高ぜんぶ「探究」に。名前だけでなく、質の物差しと評価も整理される。
詳しく見る(6項目)
  • 名称が「総合的な学習の時間」→「総合的な探究の時間」に変更(小中高で統一)
  • 探究の質を「課題の質・プロセスの質・成果の質」の3視点に整理し直し。型どおりにプロセスを回すこと自体の目的化を戒め
  • 「テーマ探究」(学校設定)と「マイ探究」(子供の裁量)の2本立てを明確化。研究系・行動系に加え「創作系」の探究も明示
  • 修学旅行・職場体験を探究として実施する場合の考え方を明確化:儀式的・文化的行事は原則代替不可、旅行的・勤労奉仕的行事は探究として成立する部分のみ代替可、と線引きを具体化。評価規準は10要素→5要素程度に絞り込み
  • 総合を「探究の領域」+「情報の領域」の2領域構成にする方針を明記。「ミニ探究ユニット」「情報ブロック」という具体的な単元単位も新設
  • AIによる「偽の熟達(false mastery)」への警戒は継続。今回は「仮説を立てる」「論じる」といった高次の認知機能もAIに代替されうるという指摘がさらに踏み込んで追加

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)総合的な探究の時間部分(2026.08.31)PDF

4.10特別活動

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで書類仕事は軽く、子供の自治は本気で。キャリパスの様式縛りから解放へ。
詳しく見る(6項目)
  • 特別活動を「確かな民主主義の担い手を育み、共生社会を実現する基盤」として位置付け強化。「包摂性」「創造性」「当事者性」の3つの側面が往還する枠組みとして具体化。生徒会活動に「学校運営に対する意見表明」を明記する方向
  • 評価は3観点に分節した目標準拠評価をやめて個人内評価へ(成長が顕著なときに「○」を記す方式)
  • キャリア・パスポートを見直し:国の例示資料を廃止、クラウドでの個人管理が基本、学校間の引き継ぎは求めない
  • 「文化的行事」は「文化・学習発表的行事」(仮称)に。合意形成・意思決定の進め方(課題設定→発散→収束→実践・振り返り)を明示
  • AI活用の留意点3点が新設:①合意形成や意思決定の主体はあくまで子供たちが担う、②誤情報等の負の側面を十分踏まえる、③効率化が目的化せずリアルな体験・協働を重視する。生徒会でのAI活用例も拡充(いじめ防止月間の企画練り上げサポート等)
  • 「特別活動」の英語定訳を新設:Tokkatsu (Student-Led Activities for Civic and Personal Development)。国際発信を意識した表記整備

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)特別活動部分(2026.08.31)PDF

4.11道徳

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映
ひとことで1話1コマの消化型から、複数時間でじっくり深める道徳へ。
詳しく見る(6項目)
  • 教科化の枠組み・記述式評価は維持したまま、「考え、議論する道徳」を深める方向(数値評価はしない)
  • 複数時間かけてじっくり考える「深める教材」を新設。年間コマ数配分が学年別に確定:13コマ程度/小学校高学年8コマ程度/中学年4コマ程度/低学年0(いずれも年間35コマ枠の中の目安)
  • 教師が学級を交代して授業する「チームで行う道徳授業」を明確化
  • AIへの過度な依存やELSI(倫理的・法的・社会的課題)を新たな道徳的課題として位置付けつつ、「AIに異なる立場の意見を示させる」授業実践を積極評価する活用面のガイドラインも新設(AIの回答を正解扱いしない・生徒自身が考える機会を確保、が条件)
  • 闇バイト・デジタルタトゥーなど、AI時代特有の具体例を情報モラル教材に追加
  • 高校は教科道徳の対象外のまま。「人間としての在り方生き方」の指導の場面に総合的な探究の時間を追加

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)道徳教育部分(2026.08.31)PDF

4.12情報・技術

審議まとめ(素案)2026.08.31 反映→ 詳細ページ(先行実施・現場の準備)
ひとことで情報教育が「教科の柱」に昇格。今回の改訂でいちばんの構造変化。
詳しく見る(6項目)
  • 新教科「情報・技術科」を創設。技術分野を発展的に再編し、「情報技術」領域+「情報を基盤とした生産技術」領域の2領域構成。生成AI・プログラミング・セキュリティを大幅拡充
  • 情報Ⅰ・Ⅱの科目は維持して内容を刷新。情報Ⅱに「AI」を独立項目として新設、両科目に実践(PBL)項目を追加
  • 小(総合の「情報の領域」)→中→高の12年体系で情報活用能力を育成。メディアリテラシー・AI・プログラミング的思考が中核。「特性の理解」は情報・AI・アルゴリズム=プログラミング・デザイン・データ・コミュニケーション=メディア・社会的役割の7項目に整理
  • 各教科に散らばっていた情報関連の内容(国語のタイピング、算数・理科のプログラミング等)を新教科・領域に集約し、各教科は本来の学びに集中
  • 中学校技術・家庭科(技術分野)の免許外担任1,863名・臨時免許543名(令和7年度時点)は審議まとめでも同じ数値のまま。2028年度までにゼロにする目標も維持
  • 自律的に動く「AIエージェント」、ロボット等をAIで制御する「フィジカルAI」といった新しい用語が登場。技術の急速な社会実装を踏まえた内容拡充

出典次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)情報・技術部分(2026.08.31)PDF

5.AIは各教科でどう扱われる?

生成AIの急速な発展を受け、今回は12教科等WG+総則・評価特別部会の全13資料すべてがAIに言及しています。13資料を対象に「AI」「生成AI」「人工知能」の記述を全文検索し、前後の文脈と一次資料を確認して整理しました(2026.08.04時点の各WG資料に基づく分析。2026.08.31の審議まとめ素案でもAIの位置づけの大枠に変更はありませんが、この横断分析自体は8/4時点のままです)。以下の5.1〜5.4は資料横断で見えたパターンの当方の整理、教科別ハイライトは資料本文の要約です。

5.1

「AIがあるからこそ人間の力を学ぶ意義が増す」という逆説ロジック

国語・外国語・算数数学・芸術・道徳など、AI活用そのものが主目的ではない教科ほどこの論法を使っています。「AIが言語生成・翻訳・計算をこなす時代だからこそ、人間にしかできない思考・表現・判断力を育てる意義が大きい」という書きぶりが、教科を問わずほぼ同じ構造で繰り返されます。教科の存在意義を守るための、部会横断の共通ロジックといえます。

5.2

「活用は認めるが、最終判断と責任は子供に残す」歯止め原則

家庭・社会・国語・道徳・特別活動などで、ほぼ同一の言い回しが繰り返し登場します。

「児童生徒が自ら考え、判断し、成果物を自らの言葉で説明し、最終的には自ら責任を持つ」

各WGが個別に考えたというより、総則・評価特別部会が主導する評価改革の中で共有された定型方針とみられます。

5.3

技術進化が速いので、指導要領本体でなく「ガイドライン」で機動更新

情報・技術WG・特別活動WG・道徳WG・総則評価特別部会が共通して、AIの具体的な活用方法は指導要領改訂サイクル(10年に1度)を待たず、国が別途ガイドライン(「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン」を令和8年度中に改定予定)で随時更新する方針を示しています。

5.4

教科ごとの温度差

情報・技術がAI教育の中核(言及約297件)で、小5「AI体験」→中「機械学習の仕組み・ガバナンス」→高校情報Ⅱ「独立項目AI」まで体系的に設計。総合的な学習・探究の時間はリスクを最も具体的に指摘(「偽の熟達」=AIに考えさせて分かった気になる現象)。一方家庭(1件)・芸術(2件)・理科(5件)・体育(4件)は言及が少なく、あっても背景説明か歯止めどまりです。

教科別ハイライト

教科等AIの位置づけの要点
国語AIが言語生成する時代だからこそ「人間ならではの言語能力」が国語科の存在意義になる
外国語翻訳AIが手軽な時代の「外国語を学ぶ本質的意義」を再定義。発話練習・フィードバックにも活用
社会独立項目「AI活用の考え方」あり。活用推奨+評価での歯止め(口頭試問等)を明記
算数・数学「AIの結果を検証し仕組みを理解するために数学的素養が必要」という逆説的な意義づけが核
理科言及は少なめ。生成AIによるデマ拡散=科学的素養の必要性の論拠、ICT活用例の一つ
体育・保健体育言及は少なめ。「AI時代だからこそ身体を通じた学びに意義」+振り返りツールとしての活用
芸術言及は最少クラス。表現過程を安易にAIへ委ねることへの明確な警戒が中心
家庭言及は全教科中最少(1件)。「AIを使っても本人の思考・判断・責任が土台」という歯止めのみ
総合的な学習・探究の時間「偽の熟達」等リスクを最も具体的に指摘しつつ、AIリテラシーの系統的育成も担う。生活科(低学年)には言及なし
特別活動「生成AI時代の主権者」を育む、が全体のキャッチコピー。生徒会活動での具体活用例あり
道徳AIを題材にした道徳的問いを教材化。異なる意見をAIに出させる活用法も
情報・技術全教科中ダントツで言及最多。AI教育の中核教科。小中高で体系的にAI理解を積み上げる設計
総則・評価特別部会教科の中身でなく「AIと共存しながら学びと評価の質をどう担保するか」という制度設計を担当

※各教科の詳細な記述・原文引用まで含む調査結果は こちらの詳細ページ →

6.出典一覧(一次資料へのリンク)

このページの内容はすべて下記の公表資料に基づいています。詳しく知りたい教科はリンク先のPDF(文部科学省)をどうぞ。

部会・WG資料日付
教育課程企画特別部会次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)(全400ページ・第17回配付資料。本ページの正本)2026.08.31
企画特別部会論点整理(ポイント概要版)2025.09.25
総則・評価特別部会取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.04
国語WG取りまとめ案※会議後修正2026.08.04
外国語WG取りまとめ案※会議後修正2026.08.03
社会・地理歴史・公民WG取りまとめ(案)(単独WGの会議後修正版は最後まで未公開。8/31の審議まとめ素案に統合される形で最新内容を確認)2026.07.14
算数・数学WGとりまとめ案※会議後修正2026.08.04
理科WG取りまとめ案※会議後修正2026.08.04
体育・保健体育、健康、安全WG取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.03
芸術WG取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.03
家庭WG取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.04
生活、総合的な学習・探究の時間WG取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.04
特別活動WG取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.04
道徳WG取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.04
情報・技術WG取りまとめ(案)※会議後修正2026.08.04
教育課程企画特別部会学習指導要領等の改訂に関するスケジュール(イメージ)2026.08.04
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